Past


露と枕 Vol.1

シアターグリーン学生芸術祭 Vol.12 参加作品

ビリー・ミリガンの毒薬

2018.8/10-12

作・演出 井上瑠菜

=出演= 小林桃香 澤あやみ 月館森 中野華子 川久保晴 奥泉 村上愛梨 (以上、露と枕) 須藤新之介 松本倖大

撮影:月館大極

澄んだ水のせせらぎが響く田舎町で、年老いた医師の変死体が見つかった。


川の音は彼を吸収していつもよりうるさい。

底までも鮮明に映す不気味な透明さを、嘲笑うような、赤、だった。


彼の脳は、溶けていた。


記憶すら薬で消せる時代になっても、あの姿は克明に、脳裏に焼き付いて離れない。

忘れるためには、責められる誰かを見つければよかった。

そして、町を訪れる者も、町に住む者も、誰が殺したのかは、分かっていた。


分かっていた。信じては、くれない。

私が、あなたが生きるためには、この水はあまりにも重かった。


―だから、どうか、せめて。


「私の愛する私を殺す毒薬で、私を殺してほしいのです。」


露と枕旗揚げ試演会

桎梏ブランコ 

2018.4/19-23

作・演出 井上瑠菜

=出演= 月館森 澤あやみ 小林桃香 川久保晴 中野華子 奥泉 村上愛梨 井上瑠菜

撮影:井上良

旧校舎図書室の取り壊しが決まった。

部長は本を廃棄から守ると息巻いて、学生運動もどきを始めようとしている。

中身のない使命感に駆られて、あるいは好奇心に駆られて、文芸部は浮足立っていた。

どうでも良かった。下らない本しかないのだから。

僕は、僕たちにとっては、取り壊しの理由なんてどうでも良かった。

はずだった。

自殺した部員の遺書が旧校舎図書室のどこかに隠されているという噂が流れて、僕たちの小さな世界は壊れ始める。

誰かがベタベタと汚い手で荒らしていく。誰かが犯人を探し全員を疑い出す。

誰もが悪くて、誰もが純粋に、誰かを好きになっただけなのに。

僕はただ、彼女を愛しただけだったのに。

ブランコは軋む。

きっと、もうあの無重力は、戻ってきてはくれない。


露と枕Vol.0

白に色づく

2017.12/7-11

作・演出 井上瑠菜

出演 小林桃香 澤あやみ 月館森 中野華子 川久保晴 奥泉 佐藤ひかり

撮影:谷水更

「——少しだけ、私の話をさせて下さい。」

とあるアイドルの卒業ライブ。最後の一曲を残し、ステージの中央で少女は語りだす。

普通になりたかったこと。普通になれたこと。うまくいっていた日々のこと。

あの人に会ったこと。

写真を破られたこと。泣いて、怒ったこと。大好きな人を裏切ったこと。

裏切って、捨てられたこと。それでも捨てきれなかったこと。

普通になんか、なれていなかったこと。

結局全てが白のまま、

最後の一曲は、きっと歌えない。


早稲田大学演劇研究会企画公演

せみのさなぎ

2016.12/15-18

作・演出 井上瑠菜

=出演= 粂川鴻太 相澤英美 川久保晴 大下沙綾 小林桃香 月館森 中野華子 古田文香 井上瑠菜

撮影:谷水更

蝉の声が聞こえる。

姉が死んだあの日から、甥が捕まったあの日から、少女が発見されたあの日から、

耳の奥で鳴りやむことがない、蝉の声が。

捜査一課の女刑事、壷倉桐子はある冬の日、通報を受ける。それはある少女の失踪。甥が 13 年間監禁していた少女が、保護から4か月経って失踪してしまったというのだ。

桐子はその少女を追うことになる。

進まない捜査の中で浮かぶ一人の容疑者、それはもう一人の甥、夕。

誘拐を謳う少女の母と、過熱化する報道。

すべてが想像で、すべてが押し付けで、誰もがもう、真実などどうでも良かった。

一人、桐子は思いを馳せる。 どうして少女は姿を消したのか。甥は少女を誘拐したのか。

姉はなぜ死ななければならなかったのか。


「幸せになってね。」


姉が飛んだ時放った言葉の意味は、まだわからない。


早稲田大学演劇研究会 三ツ巴企画公演集第二弾

路地裏で犬を殺した

2016.5.20-22

作・演出 井上瑠菜

=出演= 川久保晴 藪内健広 井上瑠菜



父が死んで四十九日。

図らずも十年ぶりに三兄弟が集まり、思い出話に花を咲かせるはずが、「父は事故死ではなく殺害された」という言葉から話は思わぬ方向へ動き始める。


事故死か?殺人か?


切れかけた家族の“糸”を繋ぐワンシチュエーションサスペンスコメディ。